仮想通貨のトランザクション処理性能の競争語りはいずれ終わる

@マナです。

仮想通貨Twitter界隈やブロガー、特にリップル推しやNEM推しの方々のよくみる発言の一つに、

「リップル(XRP)は送金が速いんです!凄いんです!感動です!」
「NEMはCatapult実装されれば秒間4000トランザクションになるんです!VISA並です!凄いんです!」

・・・があるんですが、この性能を武器に「リップル凄い」「NEM凄い」を宣伝できるのはいずれ終わりますよ、というお話です。

この先のお話を進める前に、各仮想通貨の現在のトランザクション処理(送金スピード)をまとめておきましょうか。

 

仮想通貨名 トランザクション処理数/秒
ビットコイン 6~7
イーサリアム 13~15
NEM
リップル(XRP) 4000

こんな感じ。現状ではリップル社のXRPのトランザクション処理数は圧倒的に多い。理由はブロックチェーンを使ってない事もあるんですが、一応、もう少し処理数を上げることが可能だそうです。

2017年末~2018年1月中旬は仮想通貨市場がバブルで、ビットコインとイーサリアムの送金が壊滅的に詰まったことで、XRPを使って送金する人も増えました。

手数料は安いし速いですからね。うん、確かに便利ですよね。この時期、リップル大好きな人たちが「どうだ、XRP凄いだろう」と誇らしげに声高々にツイートしてたのを記憶しております。

既に秒間10万トランザクションの技術が開発されている

トランザクション処理速度で競いたいのであれば、既に秒間10万トランザクションを処理できる技術が開発されている。

NECのブロックチェーン

プレスリリースが出ていました。

NEC、世界最速 毎秒10万件超の取引を可能にするブロックチェーン技術を開発

NECおよびNEC欧州研究所は、取引記録に参加するノード数200ノード程度の大規模接続環境下で、毎秒10万件以上の記録性能を達成する世界最速(注1)のブロックチェーン向け合意形成アルゴリズムを開発しました。これは、世界規模のクレジットカード取引を支えるシステムとして必要とされる毎秒数万件を超える性能であり、ビジネス用途でのブロックチェーンの本格的な活用を加速する技術です。

ブロックチェーンは、複数の参加者がデータの記録と共有を行い、データの保証や改ざん防止を行いますが、記録速度や参加ノード数の拡張性に課題がありました。この課題はブロックチェーンが参加ノード間の合意形成に用いるアルゴリズムに起因していました。今回、NECは、記録性能、参加ノード数で従来を超える性能を持つ合意形成アルゴリズムを備え、かつ関係者外からデータを秘匿可能なソフトウェアを開発、これにより高速性と安全性の両面で世界一の性能を実現しました。さらに、IoTデバイスからの高速参照も可能にしました。

リップル社の秒間4000トランザクション処理性能じゃ全然敵わないレベルの技術が登場。しかもブロックチェーンでこの速度を実現できるんでっせ。ノード数もたったの200。ビットコインは9000くらいです。

仕組み・安全性・検閲性がよく分かりませんが、トランザクション性能で競いたいならもう技術で負けてますよってことです。

もうちょっと突っ込んで言うと、リップル社のXRPはブロックチェーンを使っていないので、ブロックチェーン信奉者からは「XRPを暗号通貨に分類するな」という声を度々見かけます。

・・・言いたい事は分かる。XRPは仕組みが全く違いますからね。私にとってはどうでも良いです。

イーサリアムのPlasma実装

イーサリアムはICO需要が増えてきたことで、2017年の5月頃から人気ICOがあると度々トランザクションが詰まるようになってしまった。

そこでイーサリアム開発者のVitalik氏が解決策として「Plasma」を実装する予定。細かい仕組みは各自ググって学習してください。

もしPlasmaが実装されれば、トランザクション処理速度は秒間数十億トランザクションになる。

XRPやNEM/catapultの秒間4000トランザクションと比較されたら「少なっ!!なにその時代遅れ技術」と言われるレベルです。

ビットコインのライトニングネットワーク

最後にビットコインのライトニングネットワーク。テストネットを飛び越えて現在メインネットが稼働、接続者がどんどん増えてきております。

もし取引所間でライトニングネットワーク接続できれば、少なくても秒間数百万トランザクションの処理が可能になる。

おまけにこの技術だと、手数料がほとんどかかりません。実現したら数円送金するくらいのマイクロペイメントが可能になります。

トランザクション処理速度競争は終わる

ということで、トランザクション処理速度の競争はじきに終わりを迎えると思います。

そもそもトランザクション詰まりは「使われた結果」であって、それを解決するための対処法に過ぎません。それぞれの通貨プロジェクトの目的と目標は別なところにありますから、我々外野が仕様や技術性能を比較して「こっちは凄いんだぞー」とドヤるのはなんだかカッコ悪いなと。技術が進歩すれば速度や処理数はいずれ解決に向けてプロジェクト側が何とかすると思いますよ。

それ以前に、その仮想通貨が使われるようになる事の方が大事なのです。

使われた結果、トランザクション詰まりの問題に直面しているのがビットコインとイーサリアムくらいで、他の仮想通貨はほとんど使われていません。

もうね「リップル速い!」「NEMはCatapultが来れば!」の発言を見ると、なんだかなぁ・・という気分になります。

問題や見るべき部分はそこじゃないんですよ。

このブログを書いている人

@マナです。貯金1000万円で2017年から仮想通貨(暗号通貨)売買を開始。座右の銘「外そう、自分のリミッター」。