@マナです。
ビットコイン(BTC)とビットコインキャッシュ(BCH)の行く末はとても興味深い。
最近は「ビットコインは金(ゴールド)のようなものになりつつある」「SoV(価値保存)の媒体だ」と言われたり、「ビットコインキャッシュが本物のビットコインだ」とビッグブロック派が声高に主張する様子を「このドラマはどうなるんだろな」と眺めています。
私にとっては、BTC、BCHが各々の道を歩んで追求していけば、それで良いのでは?と思うんですが。
ビットコインは元々決済を目的としていたわけではない
仮想通貨界隈に入って1年が経過しますが、参入した当初は「ビットコイン=送金手段」というイメージでした。初心者向けの本でも「海外送金する場合には手数料も安く、速くて便利だ」と書かれています。
ところが、市場参加者が増えてビットコインの取引(トランザクション)が慢性的に詰まるようになり、送金手数料を高くしないとまともに着金しないようになりました。一番高い時で1送金3500円くらいですよ。
1送金500円超えたあたりには「ビットコインは価値の保存媒体」「ゴールドと同じだ」「高額決済に向いている」という発言を目にするようになって、私の認識もいつのまにか同じようになっていた。
でも、ここでふと振り返ってみるわけです。
そういやそうだな。BTCっていつから価値保存の媒体みたいな認識になってきたんだろう。ビットコインコアの人達が「ゴールド」など言ったりしてからそういう印象に変わってきた感はある。元々は決済用じゃなかったっけ?🤔
— マナ@仮想通貨 (@1000crypto) 2018年2月17日
Bitcoin.orgのサイト(有志が作ったサイトですが)、「ワールドワイドな決済手段」として前面に押し出している。
なので、ビットコインの元になったSatoshi Nakamoto(中本 哲史)の論文も、決済手段を目的として書かれたものだと思い込んでた。
だけど、それは違うかもしれない。
ビットコイン界の巨匠・大石さんからリプライ頂きました。
さとし
論文には
価値の保存とも
ゴールドとも
少額決済とも
書いておらず,
Trusted third partyを
排除する
方法とだけかいてあります残りは全部
どちらの派も
後付けでしょうつまりどう実装したかです
— 大石哲之(Bitcoin,Blockchain) (@bigstonebtc) 2018年2月17日
え、そうなの???
ということでSatoshi論文を読み返してみる。
Satoshi論文のタイトルは「Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System」である。
Abstract(概要)の部分から見てみよう。
「純粋なP2P電子マネーによって、金融機関を通さない甲乙間の直接的オンライン取引が可能になる。」
ふむ。決済目的っぽい出だしだけど、「可能になる」と書いているだけで目的ではない。
「電子署名は問題の一部を解決するが、依然信用できる第三者機関による二重使用予防が求められため、その恩恵は失われる。当システムは P2P電子マネーにおける二重使用問題の解決を提案する。」
↑これがSatoshi論文の目的らしい。
つまりこの論文はあくまで方法論の提案で、これをどう利用するかについてを目的としたものではない。
ただ、Introductionの箇所には「第三者機関が仲介することで、少額決済の可能性が失われている」という問題点についても触れられているので、ここがビッグブロック派(BCH派)が追求するところなのかもしれない。
「P2Pのオンチェーンであり、少額決済も可能にしたトラストレス(第三者を信用する必要が無い)なシステム」を目指して、ビットコインキャッシュに分裂したと考えられる。
そしてこの記述の後に、
「この論文では、時系列取引のコンピュータ的証明を作成するP2P分散型タイムスタンプ・サーバーを用いた、二重支払い問題の解決策を提案する。」とAbstractの箇所と同様のことが書かれている。
読み手による解釈の違いが出たゆえの派閥形成
これだと、読み手による解釈に違いが出ちゃいますね。「第三者機関を信頼する必要が無いシステム」と解釈する人と、「P2Pによる少額決済システム」と解釈する人。
前者はビットコインコア派で、後者はビッグブロック派。
ここで大石さんからご指摘いただく。
Bchは
サトシ論文を引き合いに出して聖典解釈を繰り返してますが,Bitcoin coreは
サトし
論文はスタートだが
時代とそその後の参加者によってコインは決め絵いくべしとしていますね— 大石哲之(Bitcoin,Blockchain) (@bigstonebtc) 2018年2月17日
確かに、ビットコインキャッシュ(BCH)推しの方の発言を見ていると、Satoshi論文に書かれた事を純粋に追及することが根っこにあるんだと思う。
対してビットコインコアの人たちは、LighteningNetworkの開発を進めていることから、市場参加者の判断で変化させていこうとしているように見えます。
まぁ・・もうハードフォークして分裂したので、それぞれが開発を進めていけば良いだけだと私は思います。
たまにお互いを非難し合う光景を見るので、正直言うと気持ち良いものではないので・・。
ビットコイン=ゴールドの解釈について
さて、もう1つ残る疑問は「ビットコイン=金(ゴールド)」の解釈ですが、Satoshi論文上では「マイニングがゴールドの採掘みたいなもの」と書いているだけで、「ゴールド」「SoV(価値の保存媒体)」などとは明言していない。
つまり、市場参加者が後付けで言いだしたことによる認識の広がりなのでしょう。
この点においても解釈は人それぞれ違うと思うので、「ビットコインはゴールドと同じだ」と言うのも自由。それを信じるのも自由。信じている人が多いから、こんなにも高額な相場価格になったのかな。
言葉一つとっても人によっていろんな解釈があるので面白いものです。ビットコインについても、この一つの論文から数々のドラマが起こって世界を巻き込んだ大きなうねりが生まれました。人間の言葉・解釈・想像力から沸き起こるパワーは凄いものです。
ビットコインが採掘されきるのは2140年頃らしいですが、私は生きていないので、このドラマの結末が見れないことがとても残念です。
このブログを書いている人

@マナです。貯金1000万円で2017年から仮想通貨(暗号通貨)売買を開始。座右の銘「外そう、自分のリミッター」。