こんにちは、@マナです。
仮想通貨市場参加者が激増して、ビットコインに引き続きイーサリアムまでが送金遅延しているようです。
コインチェックさんは律儀に状況をツイートしていらっしゃいました。
現在ネットワークの混雑により、BTC、ETHの送金に遅延が発生しております。お時間を頂戴しておりますが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。
— Coincheck(コインチェック) (@coincheckjp) 2018年1月4日
現在ネットワークの混雑によりETHの送金に遅延が発生しております。お時間を頂戴しておりますが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。
— Coincheck(コインチェック) (@coincheckjp) 2018年1月5日
このツイートへのリプライを見てください。「送金が遅延したおかげで買い時逃した」「損失分補償してくれ」という意見があります。
送金遅延の原因は取引所側にあると思っている人がいらっしゃるようですが、基本的に仮想通貨取引所側には一切責任はありません。
問題なのは、ビットコインやイーサリアムの取引承認数の性能に限界が来ていることです。
送金の遅延はスケーラビリティの問題である
まずビットコインについて。
ビットコインは10分に1つ取引台帳のブロックを作成します。ブロックのサイズは1つ1MB。このブロックに入っている取引数(トランザクション)は約4000。つまり、1秒間に6つほどの取引が処理できます。
ビットコインが誕生した頃は、取引を行う人も多くなかったので、送金も速く手数料も安価でした。
ですが、仮想通貨市場参加者が増えた結果、1秒間に6つほどの取引しか処理できないビットコインに対して、取引処理の依頼が8・・10・・12・・と増えてきました。
そして取引承認のスピードは手数料の高さに関係します。早く取引を処理して欲しい場合は、手数料を多く支払う必要があります。
その結果、ビットコインの送金スピードが遅くなり、手数料が高騰しています。
今日現在では約19万件の送金詰まりが起きています。取引手数料は1送金2,000円~3,000円。
取引手数料はウォレットからだと自由に設定できますが、100円など、正常に送金できる相場手数料より安くしてしまうと、取引承認の優先順位が下がってしまい、半永久的に着金しない可能性があります。
これが”スケーラビリティ問題”です。
2017年のビットコイン分裂騒ぎ
2017年はビットコインの分裂騒ぎが何度か起こりましたが、この理由は「ビットコインの仕様を変更して、もっと取引処理数を多くしよう」というものでした。
ビットコインキャッシュ誕生とSegwitアクティベート
その結果、分裂したコイン(ハードフォークして生み出されたコイン)の一つがビットコインキャッシュ(BCH)。
これは、ブロックのサイズが8MBで、ビットコインよりも8倍の取引を処理する事ができます。処理能力が足りなくなれば、ブロックサイズをさらに拡大していける仕様のため、手数料は安いままを維持できると言われています。
ただしブロックサイズを大きくし続けると副作用が起こる懸念もありますので、興味がある人はこの記事とこの記事を読んでみてください。
そして、現在のビットコインにはSegwitがアクティベートされました。この仕様変更では、現状1MBブロックサイズの中に、実質1.7MB分の取引を詰め込める事が出来るようになりました。
Segwit利用率はまだ10%程度
ですが、Segwitを利用するには、取引所やウォレット側がこの仕様に対応する必要があり、まだ多くが対応していません。Segwit利用率はまだ10%程度と、かなり低い状態です。
市場参加者全員でSegwitを利用すれば、ビットコインの送金詰まりも手数料高騰も軽減できる状況にはなっています。ですが、取引所は増え続ける市場参加者の対応やサポートに追われていたりで、なかなか前に進まないようです。
代りにイーサリアムでの送金利用者が増えている
ビットコインの送金遅延問題がなかなか解決しなそう・・ということで、最近はイーサリアムやリップル社のXRPで送金を行う人も増えています。
特に増えたのはイーサリアムです。
理由は、海外取引所ではイーサリアムで様々な仮想通貨の取引が出来るようになっているからです。また、ICOの多くがイーサリアムで行われている事もあります。
イーサリアムの取引(トランザクション)処理能力はビットコインよりも速く、1秒間に約15件です。
ところが、最近市場参加者が激増して、イーサリアムの処理能力にも限界が訪れるようになってきました。ビットコインと同様、手数料を上げないと速く着金せず、ネットワークも混雑しています。
その結果、コインチェックさんがアナウンスした通りです。
ビットコインやイーサリアムの運営はコインチェックさんが行っているわけではありません。世界中に分散されたネットワークで行われています。
ですので、送金遅延は誰が悪いということはありません。今のビットコインやイーサリアムの処理能力の限界を超えてしまっただけです。
開発者のVitalik氏はこのような状況になる事を既に想定していて、Plasmaなどを利用してトランザクションの処理能力を大幅に向上させる試みを行っています。
その他の送金利用手段は?
ビットコインとイーサリアムの送金詰まりの現状と理由を理解している人は、急ぎの送金をする場合はリップル社のXRP・ビットコインキャッシュ・ライトコインを利用しています。
XRPは1秒間に約1500件の取引を処理できます。
ビットコインキャッシュはブロックサイズが大きいので、現状では送金が詰まる可能性は低くなっています。
ライトコインはビットコインと同じブロックサイズですが、承認のスピードが4倍ですし、ビットコインよりは利用者は少ない状況です。
この3つの通貨で送金を行えば、ビットコインやイーサリアムよりは速く着金する可能性は高いです。
そして、取引所内でビットコインやイーサリアムに換えて、目的の通貨と交換すれば良いでしょう。
ただし、着金する側の仮想通貨取引所のネットワークがあまりに混雑していると、この2つで送金しても相応の時間はかかることがあります。
さいごに
以上、最近仮想通貨市場に参加された方は、この問題点については覚えておくと良いと思います。
仮想通貨市場やそれぞれのプロジェクトはまだ始まったばかりで、これからいろんな問題が浮上して、解決するように開発側が動いて成熟していくものです。
価格や相場の楽しさもありますが、「今起こっている問題は今後どうなっていくのかな」「この技術がどう発展していくのかな」という点にも着目すると、仮想通貨市場はより楽しめると思います。
ご参考頂ければ幸いです。
このブログを書いている人

@マナです。貯金1000万円で2017年から仮想通貨(暗号通貨)売買を開始。座右の銘「外そう、自分のリミッター」。